宿には最初、誰もいなかった。システムがわからなかったので、宿主に電話をかけてみる。

 

「あ~ごめんねぇ。空いている部屋、勝手に入って使ってくれていいから」。

 

懐の深い島だ。

言われたとおり、それっぽい部屋に勝手に入った。

約2畳半くらいの大きさで、ふとんと小さめのテーブル、テレビが置かれている簡素な部屋だ。

こういうのが未だに大好きなあたり、なかなか自分は学生気質が抜けないなぁとも思えた。

 

身支度をしていたら、おばちゃんが帰ってきた。

ダイビングしてたの?と聞かれた。この時期でもやはり観光客はダイビング客が多いのだろう。雑談しつつ、

明日のチェックアウトのことを聞いたら、朝は多分いないので、出る時に3,000円をポストに入れておいてくれという。放置感にしびれた。

 

ここは素泊まりだったが、宿のおばちゃんは、バナナ、みかん、お菓子などたくさん出してくれた。

コーヒーや紅茶も自由に飲んでいいとのこと。これを明日の朝ごはんにしようと思い、その日は口を付けなかった。

 

夜は宿のとなりの南島館でたらふく飲み食いしていると、明日よかったら一緒にツアーに行かないかという話になった。断る理由がかけらも見当たらないので是非とお願いした。ノープランとは思えないほど、充実した3日目の旅程が出来てしまったのだ。

 

その日は気持ちよくそのまま寝た。

大島には強い風が吹く。助六荘は海沿いのもろに風を受けるところに建っているので、夜中は風の音で

すこし目が覚めた。カタカタという感じのものではない、ビュオォォ!!みたいな実音の混ざったやつである。

大島では昔、この風が原因で大火があったことや、椿の木が防風林になっていることなどを聞いていた。それを実感することができた。こういうのも、大島を知るうえでとてもよかった。

 

翌日、宿のおばちゃんからもらった貴重な朝ごはんを食べ、3000円をポストに入れてツアーに出た。

その日のツアーは5時間以上もの行程で、赤だれを見に行くことができた。たくさん歩いた。この朝ごはんでエネルギーは充分事足りた。

 

ツアーを終え、帰りの便に向かった。

最後にもう1度、助六荘のおばちゃんにお礼を言いたかったが、残念ながらその日の帰り便は元町港ではなく岡田港。すこし旅情を感じた。

 

 

 

 

2月初旬、伊豆大島に生まれて初めて訪れたのだった。

仕事で知り合ったおじさんと仕事のような、遊びのような、なんだか不思議な旅だ。

何が起こるかわからない。そもそも宿も決めてない。何をするかも何となくしか決めていない。

そういう旅はものすごく好きだが、調子が悪いと失敗してしまう危険もある。

でも、今回は大成功した。それにはこの宿、助六荘の存在が不可欠であった。

 

当初、島へ来てから2日目の夕方の便で東京へ帰ろうと思っていた。というのも、今回、一緒に旅行をした博学なおじさんと初日の夜、飲めや歌えやで、あまりにも盛り上がり過ぎてしまったため、正直、もうそれ以上の濃い夜は過ごせないだろうと。

 

島へ来て2日目は、西谷さんのガイドのもと、三原山のツアーを楽しんでいた。

西谷さん

「ちょっと時間が押しちゃいましたねー。16時の便に乗ろうとすると、かなりバタバタしてしまうと思います。裏砂漠も行けるか微妙かもしれません。どうしましょう?」

 

おじさん

「僕は次があるから帰るけど、君はいっそ僕と帰るか、いっそ泊まるかだな。がはは」

 

「じゃあ泊まります!あっ、でも今から宿ってありますかねぇ」

 

西谷さん

「素泊まりで3,000円の宿がありますよ。聞いてみましょうか」

 

結果、部屋は空いていた。延泊決定。

西谷さんには、せっかくなのでその晩、他の常連の人も含めて食事をしましょうとお誘いいただいた。

実にありがたい。

ツアーを終え、宿まで送ってもらった。

 

港のすぐ近く。助六荘の一階はかつて寿司屋。助六寿司だったという。

 

TEL:04992-2-1594

交通


元町港より徒歩1分

 

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