東京の仕事仲間が、大島に行きたいと言い出したので、休みをとって旅に出た。ヤツの会社からも近い竹芝から夜22時に出発する客船カメリアに乗って、酒盛りをする気満々だったらしい。「朝、6時(夏期は5時)に着くんですね。朝から沢山大島で遊べますよ」という。何時寝るんだ?

結果は、熱海から大島に渡ることになった。
熱海と伊豆大島は東海汽船の高速船が一日4往復。熱海から直行だと45分で大島に着いてしまう。東京からの鉄道と会わせても竹芝との航海より安上がりになる。僕らは10時50分の便にした。昼前には大島に着く。
船が水中翼だけで進むようになると、揺れが全然といっていいほどなくなるので、早速、熱海で仕入れた揚げ蒲鉾を出してわさび漬けを塗ってパクついた。うわああと声を上げて、旨い、旨いと結局あっと言う間に全部食べて、5分ぐらい居眠りしたてら、もう乳ヶ崎が見えていた。今日の港は岡田港だ。すでにたっぷりの旅に満足しながら伊豆大島に上陸する贅沢を噛み締めていた。島はいい。

ちなみに、熱海でつい試食した揚げ蒲鉾が旨くて買ってしまう。それに付けて船の中で食おうと、わさび漬けも購入。同じ量のわさび漬けで300円と1,000円が並んでいると、旅情は高い方が旨いに違いないという。温泉街の急な坂を下って、港の奥まで海辺を歩いて東海汽船の埠頭を目指す。結構ギリギリ。駅前で引っかかりすぎた。最後は焦って小走り。

真鶴のあたりから初島とその奥に大島が見える

 

 


藤沢で食べるブイヤベースってなんかいい

前日の夜、東京での仕事を終えて藤沢で合流。もうここで旅が始まった感じがなんとも嬉しかった。南向きの海の街で南欧料理を食べる。「藤沢ってなんかいいなあ」と始めて藤沢に降り立ったヤツは言う。海辺の小さな都会を気に入ったようだ。

龍口寺のレリーフの一つ。なんの物語だろう

藤沢の朝、6時に旅が始まる。二月の頭、この時間はまだ暗い。藤沢の友人に案内をしてもらった。江戸時代の道、東海道から藤沢で分岐していたという江の島道。武蔵国と相模国の境の境川に寄り添うように。右は相模平野、左は三浦半島の付け根の崖と山を観ながら、昔名残の細い道を歩く。湘南の豊な太陽を浴びる素敵な芝生のお宅や山を背にする銀色の瓦屋根の美しい仏閣を観る。神社が寺のなかにあったり。不動さんを囲む崖で岩清水が湧いていたり。
最後は、頼朝の怒りに触れて、鎌倉入りを赦されなかった義経が留め置かれた龍口寺。関東大震災で2メートルほど江の島と三浦半島は隆起したと聴いた。義経のころはここから先は海。船を仕立てないと鎌倉に行けなかったんだねと、地殻変動を実感。頭が江戸時代になったり、鎌倉時代になったり、大正時代になったり。

10時50分の熱海出帆の為、8時30分、江ノ島駅から江ノ電に乗って藤沢駅を目指した。快速アクティに乗るとあっと言う間で小田原。右側に座って、向かいの窓から海を観る。最初は伊豆半島が見えて喜んでいたけど、だんだんに三浦半島が見えてくる。真鶴あたりまで来て初島と伊豆大島が見えてくるとまた旅情が高まる。富士山と海の見える東海道本線というのは風光明媚な鉄道だなと。


あの船に乗るんだね。間に合いそうだけど急ごう



熱海に到着すると、なんとも整然とごちゃごちゃした古いアーケド街。何軒も温泉まんじゅうを蒸かしている店がある。湯気の風情は冬の方がいいな。この湯気、温泉なのかフェイクなのかはわからないけど、空いた小腹にまんじゅう一つ80円を買って食べる。80年続く店なのだと。古い街だけど、道路はタイルを貼り直して、奇麗なアーケードに熱海の活気を観て感心する。「今度は熱海でも風呂に入ろう」と言いながら、藤沢の旅と熱海の旅を終えて大島へに渡った。ゆったり、ゆっくり行動していたつもりだけど、えらい盛りだくさんな藤沢、熱海、大島と三都市の旅になった。





「東京都を出て、神奈川県、静岡県、そしてまた東京都の伊豆大島だね」といい、北米プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートの境を旅しているのだなと思いながら。火山の島に渡るのが楽しみで仕方なくなる。プレートの境目、地震と火山と温泉と東海道の旅。三浦半島と相模湾と伊豆半島と伊豆諸島の文化を味わう旅。いろんな角度から富士山を観ながら、もっと相模湾を楽しもうと思う。

島に着いたら、昼飯。かあちゃんで島のくさやをたっぷり食べたあと、観光協会で宿を紹介してもらって、島のガイドさんとともにまずは2万年分の地層を観た。

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